危険なサインをチェックする
次のような状況に、いくつか当てはまる場合は、ギャンブルとの付き合い方を、見直す時期かもしれません。
- 予定より多くの金額、または長い時間、賭けてしまう
- 負けを取り戻そうとして、さらに賭ける
- ギャンブルのために、借金をしたり、生活費に手をつけたりしている
- 賭けていないと、落ち着かない、いらいらする
- ギャンブルの金額や時間を、家族や周りに隠している
- 仕事、学業、人間関係に、支障が出ている
- やめようとしたが、やめられなかった
国際的には、ギャンブルの問題の程度を測る、9項目の自己チェック(PGSIなど)も使われています。ただ、チェックの結果よりも、「困っている」「不安だ」と感じること自体が、相談のきっかけとして、十分です。
問題が進むまでの、一般的な流れ
ギャンブルの問題は、ある日、突然に起きるものではありません。一般的に、次のような段階で、説明されることがあります。
| 段階 | 様子 |
|---|---|
| 勝ちの段階 | 最初に、勝つ経験をして、ギャンブルを、楽しく感じる。「自分は、うまい」と、思いやすい |
| 負けの段階 | 負けが増え、取り返そうとして、賭ける金額と時間が、増えていく。借金が始まることもある |
| 絶望の段階 | 借金や、人間関係の悪化、仕事への影響が、深刻になる。強い不安や、抑うつ状態になることもある |
※すべての人が、この順に進むわけではありません。
早い段階で、気づき、相談することが、重要です。「まだ大丈夫」と思っている間に、問題が進んでしまうことがあります。
日常でできる自己管理の基本
予算を、先に決める
賭ける金額は、「失っても、生活に影響しない範囲」で、あらかじめ決めます。生活費、家賃、貯金、借りたお金は、使いません。予算を使い切ったら、そこで終わりにします。追加で入金したり、引き出したりして、続けないことが、大切です。
時間を、先に決める
遊ぶ時間の上限も、先に決めます。時計や、スマホのタイマーを使うと、気づきやすくなります。長く遊ぶほど、判断力が下がり、負けを取り戻そうとする気持ちが、強まりやすくなります。
現金で、上限を区切る
その日に使う金額だけを、財布に入れておくと、上限を超えにくくなります。クレジットカードや、後払いの決済は、借りたお金で賭けることになるため、避けます。
記録をつける
いくら使い、いくら戻ったかを、記録します。感覚では、勝った記憶が残りやすく、負けた記憶は薄れやすいため、実際の収支と、ずれることが多くなります。
1か月の計画を立ててみる
自己管理を、具体的な数字にすると、実行しやすくなります。次は、1か月の計画の例です。金額は、自分の状況に合わせて、変えてください。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 1か月の、娯楽の予算(ギャンブルに使う上限) | 5,000円(生活費や、貯金とは、別に決める) |
| 1回に使う上限 | 1,250円(週1回の場合) |
| 1回に遊ぶ時間の上限 | 1時間 |
| 予算を使い切った時のルール | その月は、終了。追加は、しない |
| 記録 | 日付、使った金額、戻った金額、時間を、メモする |
※あくまで、例です。ギャンブルに使わない、という選択も、有効です。
計画は、遊び始める前に、決めます。負けているときに、ルールを、変えてはいけません。ルールを、守れなかった場合は、それが、見直しのサインです。
制限のツール・制度
ギャンブルを、自分の意志だけで、コントロールするのは、簡単ではありません。そのため、多くの国や事業者では、利用を制限するための、ツールや制度が設けられています。代表的なものを整理します。
| ツール | 内容 |
|---|---|
| 入金上限・損失上限 | 一定期間に、入金できる金額や、損失の額に、上限を設ける |
| 時間の制限・リアリティチェック | 一定時間ごとに、経過時間や、使った金額を、画面に表示する |
| タイムアウト(クールオフ) | 一定期間、利用を、一時停止する |
| 自己排除 | 本人が申請して、長期間、または無期限に、利用できなくする |
| 家族による申請 | 本人に代わって、家族が、利用の制限を申請する(制度による) |
| 利用履歴の確認 | 入出金や、賭けの履歴を確認し、状況を客観的に把握する |
※提供される内容は、事業者や制度によって異なります。
こうしたツールは、始める前に設定しておくと、効果的です。負けているときや、興奮しているときは、冷静な判断が、難しくなるためです。
やめる、減らすときの工夫
やめる、または、減らすときは、意志だけに頼らず、環境を変えることが、効果的です。
- ギャンブルのアプリや、ブックマークを、削除する
- 決済の手段(カード、電子マネー、暗号資産のウォレットなど)を、解除する
- 財布に入れる現金を、減らす
- ギャンブルに関する、通知やメールを、停止する
- ギャンブルの代わりになる、趣味や運動、人と会う予定を、入れる
- 誘われやすい、場所や人の集まりを、避ける
やめた後に、再び、賭けてしまうこともあります。それは、失敗ではなく、回復の過程で、起こりうることです。再開したと気づいたら、すぐに、相談先に連絡してください。
スマホやオンラインで、気をつけたいこと
スマホやオンラインは、いつでも、どこでも、ギャンブルができるため、自己管理が、より難しくなります。夜間や、1人でいるとき、ストレスを感じているときに、衝動的に、賭けてしまうことが、あります。
- 入金がワンタップでできる状態に、しておかない(保存されたカード情報を、削除するなど)
- 小さな金額の、入金を、繰り返さない。合計が、大きくなるため
- 通知や、広告の、メッセージを、停止する
- 課金型のゲームや、ソーシャルゲームでも、支出の合計を、把握する
日本国内から、オンラインカジノなどで、賭けをすることは、賭博罪に問われるおそれがあります。また、日本の、依存症対策の仕組みも、及びません。
日本にある制度
日本には、ギャンブルの種類ごとに、依存を防ぐための制度があります。
- IRのカジノ:入場料(6,000円)、週3回・月10回の入場制限、マイナンバーカードによる本人確認、本人・家族の申告による入場の制限が、法律や運営に組み込まれる予定です。詳しくは、大阪IRの解説記事をご覧ください。
- 公営競技:競技の施行者や事業者が、ギャンブル等依存症の診断を受けた人などに対して、購入や利用を制限する取り組みを進めています。本人や家族の申告による、アクセス制限の仕組みもあります。
- 貸付自粛制度:ギャンブル等依存症などで、生活に支障が出るおそれがある人が、自分自身を、貸付の対象から外すよう、日本貸金業協会などに申告できる制度です。借金でギャンブルを続けることを、防ぐために役立ちます。
オンラインカジノは、日本国内からの利用が、賭博罪に問われるおそれがあるうえ、日本の依存症対策の仕組みが、及びません。日本国内で、法律にもとづいて運営されている範囲の中でも、上のような制度が、使えることを、知っておいてください。
家族や周りの人が気づいたとき
ギャンブルの問題は、本人が、隠したり、認めなかったりするため、周りの人が、先に気づくことも少なくありません。そのときの対応で、大切なことを整理します。
- 責めたり、問い詰めたりせず、心配していることを、落ち着いて伝える
- 借金の肩代わりは、本人の回復の機会を奪うおそれがあるため、家族が、借金の問題に、直接関わらない
- 本人だけでなく、家族自身も、相談先に相談する
- 専門の医療機関、精神保健福祉センター、保健所に、支援について相談する
相談先一覧
ひとりで抱え込まず、次のような窓口に、相談してください。本人だけでなく、家族や友人からの相談も、受け付けている窓口が、多くあります。
| 窓口 | 内容 |
|---|---|
| 精神保健福祉センター(こころの健康センター) | 各都道府県、政令指定都市にある。ギャンブル依存の相談を受け付け、医療機関や自助グループの情報も得られる |
| こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556) | 最寄りの相談窓口につながる電話。受付時間は地域によって異なる |
| GA(ギャンブラーズ・アノニマス) | ギャンブル依存の当事者の、自助グループ。匿名で参加でき、全国各地でミーティングが行われる |
| 全国ギャンブル依存症家族の会 | 家族のための、相談と支援の団体 |
| Families Anonymous(FA) | 依存の問題を持つ人の、家族や友人のための、自助グループ |
| 日本貸金業協会(貸付自粛制度) | 自分自身を、貸付の対象から外す手続きの案内 |
※窓口の連絡先や受付時間は、変わることがあります。各団体の公式サイトで、最新の情報を確認してください。
お住まいの地域の精神保健福祉センター、またはこころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)へご相談ください。受付時間は地域によって異なります。
相談するときの、準備
相談は、事前に、完璧な準備をしなくても、かまいません。ただし、次のことを、メモしておくと、話がスムーズです。
- いつ頃から、どのくらいの頻度で、賭けているか
- 1か月に使う、おおよその金額
- 借金がある場合は、その金額と、借入先
- 生活で、困っていること(仕事、家族、睡眠など)
- 相談で、聞きたいこと
うまく話せなくても、「困っている」と、伝えるだけで、十分です。窓口の担当者が、状況を、一緒に、整理してくれます。
よくある質問
どのくらいで、依存と判断されますか?
金額や回数で、一律に決まるものではありません。予定を守れない、負けを取り戻そうとする、借金をする、生活に支障が出ている、といった状態が、目安になります。判断は、医療機関などの専門家が行います。
相談したら、周りに知られますか?
相談の方法や窓口によって異なります。匿名で参加できる自助グループもあります。個別の対応は、窓口に確認してください。
ギャンブルをやめる、良い方法はありますか?
自分だけで、意志の力でやめようとするのは、難しいとされています。専門の医療機関や、自助グループ、家族の支援など、周りの力を借りることが、有効です。
家族が、借金を返してあげてもよいですか?
借金の肩代わりは、本人の回復の機会を奪うおそれがあるとされています。家族が、借金の問題に直接関わる前に、専門の窓口に、相談してください。
ギャンブルをやめたあと、再び賭けてしまいました。どうすればよいですか?
回復の途中で、再び賭けてしまうことは、起こりうるとされています。自分を責めすぎず、すぐに、相談先(精神保健福祉センターや、自助グループなど)に、連絡してください。